小説  彼を沼らせたいな・・・

小説 

 

彼を沼らせたいな・・・

 

私の部屋で抱き合い、

甘い時間を過ごした後のまどろみの時間。

 

このまま、朝まで抱き合いたいな……

 

そんな期待をしながら、

彼の腕枕に顔を埋めてる。

けれども彼が身を起こした瞬間に、

その期待が消えて行くのを感じる。

「ごめん。明日も朝早いから。

本当は泊まりたいんだけど、

本当にごめんね」


彼は残念そうに、申し訳そうにそう言って、

彼は身支度を始めてしまう。

私は、淋しさを隠して、笑顔を彼に見せる。

「仕事、頑張ってるよね。

 応援してるぞ」


おどけた表現で、

聞き分けの良い彼女としてのセリフを言う。

 

本音は全然違うのに。

本音は、ずっと彼と

一緒にいたいのにね。

彼を見送った後、どっと寂しさが押し寄せる。

夜が一人って本当に寂しい。

そんな夜はビールを片手に、

アメブロのネットサーフィンするのが最近の習慣。

 

「彼氏 忙しい 

 振り向かせるには」

で検索して、あちこちのブログを読み漁る。

 

男性に結婚を決意させるには、

 料理上手と、床上手です」

そんなブログを読み進めると、

どんどん自分に自信がなくなる。

床上手、料理上手かあ……

料理は、自信がある。一時は料理教室に通っていたし、

彼の好物である鳥の唐揚げは毎回褒められる。


「ユミの唐揚げ、

 ホント美味いよ。

 もう、居酒屋とかでは

 唐揚げ頼めなくなったよ」

 

そう言って、ものすごい勢いで、

唐揚げを食べてくれる。

じゃあ、彼が泊まらなくなった理由…….

床上手じゃないからなのか……

と考え始めると、ますます不安になる。

どうしたら彼が

私に夢中になってくれるんだろう。


どうしたら彼が

お泊まりしてくれるんだろう。

不安で頭がいっぱいになり、

ネットサーフィンが止まらなくなる。

 

気がつくと・・・

恋愛占い師さんの

ブログにたどり着いていた。

 

ブログの文章は優しさに溢れてる。

男性への気遣い、優しさ、思いやりに溢れるブログ。

 

読み進めるうちに、

私は彼に対して

甘え過ぎていたのかも

しれないと気づき始めた。

付き合ったばかりの

初々しさに

欠けていたのかもしれない。

 

もっと彼に優しくしたい。

仕事が忙しい彼を癒したい。

でも、本当は仕事が忙しくても

私との時間を大切にしてほしい。

 

そんな想いでいっぱいになった。

 

彼への愛情を表現したい…...

そんな気持ちが溢れていく。


そして、週末、彼が家に遊びに来た。

彼へのキスを、いつもよりも丁寧にした。

耳、首筋、頬、まぶた、おでこ…….

愛しい気持ちを込めて、

彼の顔中、丁寧に丁寧にキスをした。

 

丁寧なんだけど、

彼がもどかしそうに求めようとすると、

少し焦らしたりも。

彼がいつもよりも

ギュッと私を抱きしめてくれた。

彼の情熱を感じながら、

背中に愛おしさを込めてキスのシャワーをした。

 

彼がいつもと違って、トロンとし始めた。

その反応が愛おしくて、焦らしながらも

濃厚に甘いキスを何度も仕掛けた。

愛し合った後の、

まどろみの時間。

彼が私の頭を撫でながら、

笑顔でこう言ってくれた。

「今日は、泊まろっかな」

私は心から嬉しくなった。

もっと彼に愛を注ぎたい。

そんな想いでいっぱいになった。

 

 

 

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