ダブルな恋愛小説 「風になる」最終話

ダブルな恋愛小説

「風になる」最終話

 

 

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大浴場の温泉に別れて入る。

その時に、アロマ・メモリーオイルをシュシュっとする。

 

この香りは、魔法の香り。

 

彼のお嫁さんに

なれますように。

結婚してるけれど、

結婚できますように。

 

いつかは、お互いに

今の家族から卒業して、

一緒に暮らして

正式な夫婦に

なれますように。

そんな願いを込めて、

シュシュっとしてるの。

 

部屋に戻り、浴衣姿で

彼にお酌しながら

食事をいただく。

この瞬間、本当の夫婦に

なったような気分になれるのが

最高に幸せ。

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「ミナミ、俺さ、ミナミと出会ってから

 すっごい幸せなんだよね。

 

 俺はバイクしか興味なくて

 仕事もイマイチで。

 だから家でも肩身狭いの。

 

 仕事がイマイチだから

 出世しないでしょ。

 おまけにバイクに

 お金使ってるから

 生活費あんまり入れてないんだよね。

 

 奥さん、いっつも怒ってるよ。

 まあいいやって感じかな、

 奥さんのことなんて

 気にしてないから。

 

 それでさ、ミナミがサークルで

 細かいことしてくれるようになって、

 俺は好きなことに集中できて。

 サークルもどんどん

 メンバーが増えて有名になって来てさ。

 

 もう、俺の夢が叶ってるよ。

 俺は日本一のバイクサークルの

 主将になるのが夢なんだ。

 今年のメンバー数、多分日本一なんじゃない?

 ちゃんと調べてみるけど、多分そうだよ。

 

 ありがとう、ミナミ。

 ホント、生きてて幸せだなーって

 思うんだ」

気づくと私は

ワンワン泣いていた。

家では誰も私を

必要としてくれない、

居場所がない。

 

ダイキが私を必要としてくれるからこそ

サークル内で楽しく過ごせている。

本当に幸せ。

 

もう私は

ダイキの側でしか

生きていけない。

私こそダイキに

感謝の気持ちで

いっぱいだ。

 

「ミナミ、こっちおいで」

 

そう言われて彼の隣にそっと座った。

 

すると彼が肩を抱き寄せてくれて、

深く深くキスをしてくれた。

全身がとろけるような感覚を

たっぷりと感じられるようなキス。

 

彼がいなくて孤独だったあの頃に

戻るなんて考えられない。

 

世間から非難されても、

この関係を失うなんて考えられない。

ささやかな幸せに私は一生浸っていたい。

そう心から願い続けている。

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