ダブルな恋愛小説
「風になる」第一話
少し前の私は精神的に死んでいた。
病んでいたというよりも、
自分の居場所がなくて
ワクワクする感覚を
味わうことができなくて、
気が済まないという状態だった。
バイクサークル、
に参加したのは、もう1年前。
ダイキと話した時の印象は
今でも忘れられない。
「へー、ヤマハの
ドラッグスター乗ってるんだ。
センスいいね。
目の前の私のことよりも
バイクを興味深く見る
そのまなざしに何か
その様子に、ふと無邪気な少年らし
私は何年か振りに自然と笑った。
「ダイキさん、よろしくお願いします。
私はミナミって言います」
そう挨拶して、
メンバーに参加させてもらえることとなった。
サークル内の女性リーダーをしている。
どんどん人数が増えていった。
メンバーの意見によると、
私の存在が大きいのだそう。
「ミナミさん、すっごい面倒見いいんだよね。
丁寧に答えてあげてるじゃん。
ダイキに聞きながら
女性向けにレクチャーして
その点、
確保してくれるか
やっぱダイキだけじゃ、
ミナミさんがしっかりと支えて
誰でもわかることじゃないかな」
サークルの主要メンバーが
そんな風に私を褒めてくれる。
彼が喜んでその話に入ってくる。
「当たり前だよ。
俺が特別に定期メンテナンスしてるんだから。
俺はミナミに頭上がらないってこと」
そう言いながら、おどけながら私を抱き寄せてくれる。
でもサークルを出れば、
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