私小説 嫌われちゃう私が、キラキラ光る私に変身する物語 第三話

嫌われちゃう私が、

キラキラ光る私に変身する物語

 

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第三話

 

忘年会の空気は一気に凍りついた。

ザワザワとする中、あちこちからこんな声が聞こえてきた。

「かわいそう……..

 マリコちゃん、

 ミズタニ君と

 半年以上も

 付き合って

 いたんだよ…….」

「あの人、ミズタニ君より

 相当歳上だよね?

 あんな風に

 イチャイチャしちゃって。

 おばさんのくせに」

私だけ、完全に悪者になっている……..

誰一人として、

私をかばう人はいなかった。

呆然としていると、部長が目配せで私を呼ぶ。

「お前、もう帰れ」

まるで、厄介者を見るかのような目つきをされた。

もうダメだ。

私は、そそくさと会場を後にした。

翌朝出社するとすぐに、

課長に呼び出された。

「聞いたよ。

 昨日の忘年会の

 一連の騒動。

 俺は今回忘年会

 参加できなかった

 んだけどさ、

 参加したメンバーから

 話は聞いたよ。

 

 なんでも、

 人目もはばからず、

 新人社員を誘惑した

 っていう話だよ。

 ミズタニ本人にも

 聞いたんだけど、

 一方的に迫られて

 困ったって言ってたよ。

 困るんだよね」

いやいや……..

それは違う!!

誘惑なんてしてない。

むしろ絡んできたのは彼のほうだ。

 

とっさに言い返したかったけど、

声が出なくて…….ショックで、

何も言えなかったの。

この忘年会以降、会社で完全に孤立していくの。

月日が流れていけば、忘れて行ってくれるかなと思いきや、

どんどん私への誹謗、中傷は増えていくの。

 

若い男性を誘惑する

欲求不満の派遣

仕事をサボって

若い男性とおしゃべり

ばかりするという噂….….

 

そして、上司のところには、

匿名で私へのクレームが

数多く届くようになった。

クレームが出る度に、

会社の規定通りに調査が必要なの。

私は、何度も上司に

現状の業務態度を聞かれたの。

忘年会から1ヶ月後、

上司から呼び出されて、こう言われたの。

「3月いっぱいで、

 契約満期とさせて

 いただきます。

 つきましては、

 引き継ぎ等を

 しっかりと行って、

 滞りのないように

 お願いしますね」

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