小説
バレンタイン・ファンタジー
第二話
あのミーティングからずーっと彼と話をしていないの。
周りの人たちは、私に気を遣ってくれる。ありがたいな…..
周りの人たちに優しくされるたびに、
そんなある日、営業部から大きなクレームが部長宛てに来たの。
その資料を確認すると、最終チェックが私になっていたの。
「藤木さん、困るなあ。こんなに大きなミスをするなんて….
最近、倉本課長とも全然話してないし。
それは大目に見ていたんだけど。
そんなワガママしてるから、
私の意見は何も聞かずに、一方的に怒られてしまったの。
部長、
フラフラになりながら席に着くと、
倉本課長が私の席に来て、
「ねえねえ、藤木さん、
俺さ、今日定時で上がれるんだ。
「そうだなー、
安くてうまい飲み屋にでも連れて行ってよ」
じーっと私の目を見ながら、
こっちも、
彼が励ましてくれるから、
定時が終わって、赤ちょうちんが看板の、
「いやー、会社の近くにこんな風に気楽にお酒が飲める場所、
俺さ、ついこの前まで、福岡にいたでしょ。
いやー、
彼はとっても聞き上手で、お酒を注ぐタイミングも絶妙なの。
泣きながら今まで我慢していたことを全て話した。
手に負えない仕事は全て私に押し付けてくるということを話したの
彼は黙ってうなづきながら聞いてくれたの。
もう、
気づくと、時刻は12時を回っていたの。
驚いて私、
「倉本さん、終電あります?私、タクシーで帰ります。
「ああ、もうそんな時間かー。分かった」
彼はそういうと、お会計を済ませてくれたの。
二人でお店の外に出た途端、彼の顔が近づいてきて、
そういうと、彼はタクシーを呼び止めて私を押し込んだの。
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