小説 バレンタイン・ファンタジー 第三話

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小説

バレンタイン・ファンタジー

第三話

 

タクシーの中では、

彼に手を繋がれたり激しいキスをされたりしたの。

気づくと私は、彼の腕の中で朝を迎えていたの。

「ねえねえ、これからはさー、

 さきちゃんって呼んでもいい?」

彼と深く結ばれた翌朝、

ベッドの中で耳元でそうささやかれたの。

「え…….うん……..」

もしも、彼が独身男性だったら、このシチュエーションは夢のような出来事。

だけど、彼は結婚してて、福岡に奥さんと小学生のお子さんが二人もいるの。
酔った勢い、たった一晩のあやまちにすることもできるの。

でも、彼がまっすぐに私を見つめてくるから、何も言えないの。

「さきちゃん、とっても素敵だったよ。

 すごくセクシーだった。肌が透き通るようにキレイ」

彼は私の背中を優しく撫でながら、

ドキドキしたり嬉しくなるような言葉をいっぱい語りかけるの。

「ねえ…….俺、さきちゃんのことは、東京の彼女として大切にするから。

いっぱいデートしようよ。そう、あちこち東京案内してね」

彼はそういうと、私を抱きしめてキスするの。

ああ……..もうダメだ。誘惑から逃れられない。

もう私、彼のことが好きで好きでたまらないの。

これから、甘くて切ない、ヒミツの関係を始めて行く覚悟を決めたの。

初めてお泊まりした1週間後に、彼から合鍵を渡されたの。

「さきちゃん、いつでも家に来ていいからね。

あとね、荷物をいっぱい置いて欲しい。

さきちゃんの温もりを感じたいんだ」

純粋な眼差しで、彼にそんな風に言われるの。

嬉しくて、パジャマ、部屋着、化粧品、歯ブラシ……..

そういったものを、どんどん彼の家に置いていくの。

気づくとあっという間に、半同棲生活が始まっていたの。仕事帰りは彼の家に行き、激しく愛し合うの。

そして一緒に眠り、次の日は一緒に通勤をして、一緒に仕事をする……..

いつも一緒な幸せな日々が続いていくの。

彼と私は、趣味も一緒なの。ゲームや漫画が大好きな二人だから、休みの日は彼の家でオンラインで繋がってゲームをしたりするの。彼と一緒にいる時間はとても幸せなの。

 

彼はいつも私を楽しませることに全力投球なの。

お家にいるだけではつまらないでしょって彼が言ってくれて、月1回くらいは、お出かけするの。

東京タワー、スカイツリー、高尾山、水族館、お台場、浅草………いっぱい東京観光を楽しむの。

あれから3年が過ぎ、二人の関係はどんどんしっかりとした深い関係になっていくの。

ずっと仲良しで喧嘩は滅多にしない二人なの。

 

しかも恋愛だけにうつつを抜かしてるわけではなく、

3年の間に、彼は仕事で大活躍したの。

 

経理という縁の下の力持ちな仕事を、他の部署にしっかりとアピールして、

他部署との連携を強固にするような改善をどんどんして来たの。

彼は社内では引っ張りだこ。毎日ミーティングの連続で、スケジュール管理がままならなくなって来たの。

そんな状況だから、彼に秘書が必要だと部長が判断して、

私は彼の秘書業務がメイン業務になったの。

彼の活躍のおかげで、二人はどんどん公認の仲になっていくの。

「藤木さーん、この前の資料、データ整理してPDF化して、

営業部全員にメールしておいてくださいね。よろしく」

「倉本課長、了解です。いただいた資料をざっと拝見すると、

この辺が専門用語が多いので、

営業部に分かりやすい表現に直しておきます」

「助かるー。ありがとー」

こんな会話が日常茶飯事になっているの。

 

あうんの呼吸で仕事ができる二人だねって周りからも評価されているの。

だから、正々堂々と一緒に居られる。

もう二人は、一心同体で離れることなんてないと信じられるの。

お互いに残業で疲れた時は、二人が我が家のように通ってる居酒屋さんに行くの。

 

そこでの私たちは本当の夫婦のように振る舞ってるの。

お店のマスターは私のこと、

奥さんって呼んでくれるの。

そんな毎日が幸せでキラキラと輝いている。

「ねえ、今度の連休、一泊で箱根でも行かない?

もっともっと、さきちゃんと一緒にいたいよー」

どんなに一緒の時間を過ごしても、

彼はもっともっと愛をちょうだいっていう雰囲気で、べったり甘えてくるの。

寒い日が続くなと思っていたある日、ミーティングから戻ってきた彼の顔色が悪いな…….栄養ドリンクを買ってこようかな……..そんな風に思っていたら、彼、デスクに突っ伏してしまい、そのまま起き上がれなくなってしまったの。隣に私は、慌てて救急車を呼んだの。到着次第、当然のように救急車に乗り込んだの。

病院に搬送される途中、救急隊員に聞かれるの。

「ご家族の方ですか?」

「あ…….いいえ、会社の部下です」

「わかりました。ご家族の方に連絡取れますか?」

「私の上司が連絡とってます。

 ただ、彼は、単身赴任で、ご家族は福岡なんです」

こんな時に、彼とは家族じゃないんだ、秘密の恋愛、婚外恋愛だという現実を突きつけられるの。
 

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