小説 バレンタイン・ファンタジー 第四話

 

 

小説

バレンタイン・ファンタジー 

 

第一話

https://ameblo.jp/koremiturie/entry-12719766901.html

 

第二話

https://ameblo.jp/koremiturie/entry-12719769180.html

 

第三話

https://ameblo.jp/koremiturie/entry-12719772081.html

 

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バレンタイン・ファンタジー 

第四話

先生の方も、止むを得ないのか、私に病状を説明してくれるの。

病院で家から持ってくるリストをもらったから、彼の家に行き、パジャマ、歯ブラシ、下着などなど揃えていくの。

 

会社には、現状を報告したの。

自動的に彼の合鍵を持ってることが明るみに出てしまったのだけど

おとがめもなく、周りが驚いてる様子もなかったの。

翌日、福岡から奥様が駆けつけたの。

「はじめまして。倉本さんの秘書をしております、

 藤木と申します。まだ、意識が戻ってないのです……..

彼のベッドの脇で、奥様に状況を説明したの。

「倉本の家内です。この度はありがとうございました。

 うちの人、無茶ばかりするから…….」

そう言い終えると、奥様は彼の手を握るの。

するとその途端、彼の意識が戻ったの。

「パパ……..良かった。目が覚めて。

 もう、ビックリしちゃった」

「わざわざ来てくれたんだ。ありがとう。子供たちは?」

「うちの実家の母が来てくれてるから。

 大丈夫?ほとんど福岡にも帰らないでいるから……..」

彼と奥様は仲良く話をしているの。夫婦仲は悪くないんだ。

私が勝手に夫婦仲が悪いと思い込んでいたから、ショックだな。

二人の様子を見てられなくて、黙って病室を出てしまったの。

1週間後、退院した彼。最初は時間短縮で仕事再開して行くみたいなの。

秘書業務は、今までと変わらず頑張って行くと決めたの。

だけどね、彼との恋愛はもう終わりにしようと決めていたの。

その決意として、彼が入院している間に、彼の家から私の荷物を全て運んでしまったの。

『さきちゃん、退院したよ。

 ねえ、お家に遊びに来てよ』

『さきちゃんの荷物、ないね。

 無くなってる。寂しいよー』

彼からこんな風に退院したことの報告LINEや、

私の荷物が無くなって寂しいと言うLINEがいっぱい来たの。

 

でもね、どのLINEにも返信していないの。

 

もう、彼とは会社だけと決めたから。

そんな日々が続いていたある日、彼からこんなLINEが届いたの。

『さきちゃん、東京案内してよ。

 今度の休み、東京タワー入り口、10時に集合ね』

そのLINEを見た瞬間、ビビッと雷に打たれたような気持ちになったの。

そう、彼への恋愛感情が私の中で再び溢れて来るの。

もうLINEを無視できない。どんどん彼へのときめく愛情が止まらないの。

だから私は、オッケーというスタンプを押したの。

すると、すぐに既読になって、

彼からハートマークたっぷりのスタンプが届いたの。

ふとカレンダーを見ると、バレンタインが近いことに気づいたの。

半同棲していた時は、手作りのチョコ・クッキーを一緒に食べていたな。

ゲームをしながら、クッキーを食べさせあったりして…….懐かしい記憶が一気に蘇えっていくの。

 

今年はどうしよう….…東京タワーで会うことが、これからの二人にとってどうなるのか分からない。

でもね、彼が大好きな手作りのチョコ・クッキーを作っていくことに決めたの。

だって、久々に会うのだから、彼の笑顔が見たいの。

東京タワーデート当日。少し緊張したけれど、久々に彼と会うと嬉しくて仕方なかったの。

彼がチケットを準備してくれていて、展望台に向かうの。

展望台で、二人であれこれ話をしながら、会えなかった時間をゆっくり埋めて行くの。

彼が東京の街並みを眺めながら、小さい頃のことを話してくれる。

その話に耳を傾けていると、出会ったばかりの頃を思い出すの。

どんどん気持ちがときめきであふれていくの。

彼の話、もっと聞きたいから二人でいる場所を変えたくなったの。

およそ一時間くらい、歩きながら話を聞いたから今後はゆっくりと座って目と目を合わせたい。

そして話の合間に手作りのチョコ・クッキーを渡そう。

だからね、思い切って彼に話しかけてみるの。

「ねえねえどこかで、お茶かランチしない?」
「うん、わかったー」

そう言って、エレベーターの方に向かうと、急に後ろから抱きしめられるの。

「さきちゃん、ちょっとじっとしてて。

 動かないでね」

気づくと、彼がネックレスを私の首元にかけてくれたの。

「結婚しよう。さきちゃんを、

 正式な奥様として迎え入れたいから。

 離婚、今進めてるからさ」

びっくりして言葉が出ないの。だから、大きくうなづいたの。

うなづくことで、彼のプロポーズを全身で受け止めてると目の前の彼にいっぱい伝えたいの。

「さきちゃん、愛してるよ」

人目も気にならないくらいに情熱的な彼に私、ぎゅっと抱きしめられて、おでこ、耳元、目元、首筋、唇にキスのシャワーを浴びるの。その心地よさに身を委ねていくと、二人の運命の扉が大きく開かれていく予感でいっぱいになるの。

 

 

 

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