小説  ラブストーリーは桜の季節に 第二話

小説 

ラブストーリーは桜の季節に

第二話

 

第一話は、こちらから

 

当日、待ち合わせに行くと

すでにシュンがカメラを構えながら撮影準備を始めてた。

「おはよ。思った通り、可愛い」

と話しかけてきた……と同時に、

私に向けてパシャっと撮った。

「俺さ、撮るよって言わないで撮るから。
自然に会話しながら、シャッターを切っていく。

それが俺のスタイルなんだ」

そう言って、またパシャ。

戸惑う気持ちはあるけれど、真剣な彼を見て決めた。
今日はシュンのペースに任せよう。

すると自然な表情をカメラに向かって出してる

私になっていくことができた。
カメラを撮影する彼に

引き込まれるような感覚を覚えていく。

「ミズホ、良いね。自然体な笑顔。最高」
満足げな彼の言葉に、ホッと安心した。

「オッケー、お疲れ。撮影終了だよ。

 さ、飲みに行こう!飲める?
「うん。少しなら……」
「よし、じゃ、あの店に行こう」

シュンに着いて行っていくと、路地裏にある小さなビストロに着いた。
そして、シャンパンで乾杯した。

「ミズホさ、すっごいいい顔してるよ。出来上がりが楽しみだね。
だいたい1週間くらいで送るね。

まずミズホにチェックしてもらって、
オッケーしてもらってからインスタ投稿するから。
来週は、日本のあちこちで桜を撮影しようと思う。


再来週からはトルコ、エジプト、ギリシャに

撮影旅行だからその前に桜を撮り溜めする予定」

「随分慌ただしいね。

 もっとゆっくりしてるかと思った」


「うーん、なんとなくの感覚なんだよね。

 今、旅費があるから行く
ただそれだけの感覚に任せて行動したいんだ」

せっかくシュンと再会できたのにあっという間にお別れ。
がっかり感いっぱいで落ち込んでしまう。
うつむいてるとシュンが私に気遣ってくれる。

「ミズホ、大丈夫だよ。せっかく再会したんだからさ。
俺、旅先からもメッセージ送るよ。

多分、ネット回線はあるはずだからさ。
ネット無い場所に行きそうな時には前もって連絡する」

彼は満面の笑みを私に見せながらそう言ってくれた。

翌日から彼と毎日のようにLINEのやりとりが始まった。
撮影した写真と日常の他愛のない話をLINEしてくれる。

「素敵だね。桜。光の加減もちょうどいいね」


「サンキュー。

 ミズホに褒められると自信がつくし、元気もでるわ

そして、二人で撮影した桜と私の写真も数枚ずつ送ってくれる。
恥ずかしいという気持ちはあるけれど、
丁寧に撮影してくれている

雰囲気を感じられる写真に感動した。

「すっごい良い作品が撮れた。ミズホ、サンキュー。
インスタに少しずつアップして行くね」

オッケーと私はスタンプを押した。

日本での撮影を終えたあと、彼は海外へと旅立ったよう。
LINEで、行ってくるねと報告があった。

海外に行くと時差の関係なのか、
慌ただしい海外での撮影スケジュールのせいかは分からないけれど
LINEの頻度は少し減った。

さみしいけれどインスタで
彼の様子をリアルに感じることで寂しさを紛らわせた。

そんな日々を過ごしていたら

3日に1回はあるLINEがない日が続いた。
そしてLINEが来ない日が1週間となった。

インスタも更新してない。

向こうで病気になったのか……それとも事故…….
心配で不安な気持でいっぱいになる。

思えば再会してたった1回しか

シュンと会ってないのに
こんなに夢中になるなんて。

今までの私では

考えられないような恋心に驚いていた。

 

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