5次元恋愛小説 「時空を超えた恋物語」 第四話

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「時空を超えた恋物語」 第四話

 

会社の新商品発表が目白押しになり、仕事が忙しさのピークを迎える。

もう、長野に行きたくてもいけない…….もどかしい日々を過ごすの。

それでも、仕事をある程度片付けて、なんとか時間を作った。

でもやっぱり残業してしまって、いつもよりも長野への到着が遅くなってしまった。

 

「ごめんね。シンジ。私、ダメよね。

 もうダメ。せっかくのデートの時間が

 短くなってしまって。悲しいな」


楽しみにしていたのに遅くなってしまうことで、

私は罪悪感でいっぱいになってしまうの。

 

駅に迎えにきてくれていた彼に、

感情的に早口で、こんな風に言ってしまうの。

「まあ、気にするなって。

 今日はゆっくりしたほうが

 いいかなって思ってさ、

 俺のマンションに

 ケイタリング頼んであるから。

 

 レイコの好きなシャンパンと、

 生ハム、チーズの盛り合わせを

 準備してあるよ。

 もっと食べたくなったら、

 追加でウーバーすればいいし」

「シンジ、最高。そうなの。

 忙しすぎて、食欲がないから

 お部屋でゆっくりしたかったのー」

そんな風に言いながら、いつも通りに彼の車の助手席に滑りこんだ。

 

その矢先、携帯電話が鳴り響く。

スマホを見ると、プロジェクトリーダーからの着信。

イヤな予感……ドキドキしながら出てみる。

話の内容は私が作成した見積書に大きなミスが見つかったけれど、

直ぐにリーダーが修正したという報告だった。

 

大事にならずに良かったと思うけれど、すごくショック。

その気持ちを抑えられず、電話を切った途端、フーッとため息をついてしまうの。

「ごめん、プロジェクトリーダーからの電話でした。

 私のミスをリーダーが修正してくれたっていう電話。

 リーダーは怒ってないし、問題は解決してるけどね

 もうー、イヤになるー」

そう言いながら、悔しさと恥ずかしさで足でバタバタしてしまうの。

彼はしばらく黙って、車の運転に集中してる。

信号待ちの時、彼が私の顔を見て、

優しい雰囲気で話してくれる。

「完璧な人間なんていないよ。

 誰だってミスはあるさ。

 気にしないで行こうよ」

彼が大人であまりにも優しいから、

ミスしてしまった自分のことを、

子どもっぽく情けなく感じてしまったの。

 

もう、恥ずかしさでいっぱい。

ここで素直に甘えることが一番いいと分かってるけれど、

心にブレーキがかかるの。

「シンジはいいよね。ずーっと表舞台でしょ。

 そんな風に気軽に言わないでよ。

 会社の大きなプロジェクトの

 メンバーにやっと参加できたのに。

 

 私は、営業事務という裏方から

 やっとこの仕事には入れたの。

 絶対にチャンスは逃せないんだから!」

ずーっとプレッシャーの連続で、睡眠不足だったからかな。

思わず声を荒げてしまった。

 

ハッと気づくと、

彼の様子が冷めていたの。

「シンジ、ごめん。あの……..

 言い過ぎちゃったね」

「いいよ。でもさ、

 まさかレイコがそんな風に思ってるなんて。

 俺がさ、2代目の苦労知らずという

 レッテルを貼られてきて、嫌な思いをしてるのを

 今までいっぱい話してきたじゃん。

 

 親父が有名なワンマン社長だからさ、

 いつも比較されてさ。

 そういう俺のこと、

 レイコが一番分かってくれてるのだと思ってた」

「 本当にごめんなさい」

「ごめん。今日は一人にさせて。

 それでさ、着いたばかりなんだけど

 駅まで引き返そう。

 東京に帰ってほしい。ごめん」

それから私たちは駅までの間、

ずっと無言だった……...

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